春先に、黒くて羽のある虫を家の中で見つけて驚いた、という経験はありませんか。それはシロアリの「羽アリ」である可能性があります。シロアリは住宅の木材を食べ、建物の耐震性を大きく低下させてしまう害虫です。実際に過去の震災では、シロアリ被害のあった住宅の倒壊率が高かったという調査報告もあります。本記事では、シロアリの発生時期の見分け方から、代表的な駆除工法の違いまで解説します。
羽アリを見つけたら確認したいポイント
日本でよく見られるシロアリは「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の2種類で、建物に被害を与えるシロアリの約99%を占めるといわれています。
ヤマトシロアリ(4月下旬〜5月)
日本で最も被害件数が多いシロアリです。4月下旬から5月にかけて、雨上がりの暖かい日の日中に一斉に飛び立ちます。体長は5〜7mm程度で、黒褐色の体に淡い色の羽が特徴です。湿った木材を好むため、浴室・キッチン・洗面所周辺の床下に被害が集中しやすい傾向があります。
イエシロアリ(6月〜7月)
イエシロアリは6月から7月にかけて、夕方から夜間に飛び立ちます。街灯や室内の照明に集まる習性が強く、夜に窓の近くで大量の羽アリを見かけた場合はイエシロアリの可能性が高いです。体長はヤマトシロアリよりやや大きく、7〜9mm程度です。コロニーの規模が大きく、被害の進行が早い傾向があります。
もし羽アリを見つけても、殺虫スプレーでの駆除はおすすめできません。シロアリの羽アリは、掃除機で吸い込んだり、シャワーの水圧で洗い流すなどの方法で対処しましょう。
シロアリが好む環境
シロアリは基本的に土壌の中に巣を作り、暗く湿った場所を好みます。床下の配管などから水漏れしている場合は湿度が上がり、シロアリが生息しやすい環境になってしまうため、水漏れや雨漏りはすぐに修理することが大切です。
また、シロアリは木材に含まれるセルロースという成分を好み、エサを求めて巣から離れた場所まで移動する種類もいます。庭などに木材を放置していると、そこがエサ場になってしまうため、長期間置きっぱなしの薪や廃材は片付けておきましょう。
シロアリ被害のサイン
シロアリは床下や木材の中など、普段見えない場所に巣を作るため、気づいたときには被害が進んでいた、というケースも少なくありません。以下のようなサインが見られたら、点検を検討しましょう。
- 床下や基礎の周りに、幅5〜10mm程度の細い土の線(蟻道)がある
- 木材の表面に砂粒のような排出物(フラス)が落ちている
- 春先〜初夏に室内や窓辺で羽アリ・抜け落ちた羽を見かけた
蟻道は指で触ると崩れることが特徴で、崩した中にシロアリがいれば現在進行中の被害です。年に1回は床下を目視確認するか、専門業者の定期点検を受けることをおすすめします。
代表的な駆除工法:バリア工法とベイト工法
シロアリの駆除・予防方法は、大きく「バリア工法」と「ベイト工法」の2つに分けられます。それぞれメリット・デメリットがあるため、ご家庭の状況に合わせて選ぶことが大切です。
バリア工法(液剤工法)
住宅の床下に液状の薬剤を散布し、シロアリを駆除すると同時に、シロアリが侵入できない「バリア層」を作る工法です。日本で最も普及している工法で、シロアリが基礎や束柱を伝って侵入する習性を利用し、合理的かつ素早い駆除が可能です。被害箇所に直接薬剤を注入できるため、すでに被害が出ている場合の対応スピードに優れています。薬剤の効果は約5年持続するため、5年ごとの再処理が目安になります。施工は床下が中心となるため、普段どおりに過ごしながら作業を進められます。
ベイト工法
1980年代にアメリカで登場した工法で、ベイト剤(毒餌)をシロアリに巣まで持ち帰らせ、巣ごと駆除することを目的としています。建物の周囲に専用のステーション(容器)を埋め込んでベイト剤を設置し、定期的に確認・補充しながら、巣全体の駆除を待ちます。薬剤を屋内に直接使用しないため、家を傷つけることがなく、ベイト剤に含まれる成分は脱皮する生物にのみ作用するため、人やペットへの安全性が高いとされています。一方で、駆除完了までに数か月単位の時間がかかり、定期的な点検が必要になる点が特徴です。
どちらを選ぶべきか
「すぐに駆除したい・コストを抑えたい」という場合はバリア工法、「薬剤に不安がある・小さなお子様やペットがいる・壁に穴を開けられたくない」という場合はベイト工法が向いているとされています。建物の構造や被害状況によって最適な工法は異なるため、無料の床下調査を受けたうえで、専門業者に相談することをおすすめします。
シロアリ対策は「予防」が最もコストを抑えられる
被害が出てからの駆除・修繕は、予防処理に比べて数倍のコストがかかることが一般的です。新築時の防蟻保証(通常5年)が切れるタイミングで点検・予防処理を行うことが、長期的に見て最もコストパフォーマンスの良い対策といえます。将来的な売却や相続を考えている場合も、定期的な点検と予防処理は住宅という資産を守る投資になります。
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