訪日外国人旅行者の増加に伴い、ホテル・旅館でのトコジラミ(南京虫)被害の相談件数が増加しています。公益社団法人日本ペストコントロール協会の調査によれば、相談件数は2009年の303件から2022年には683件と、2倍以上に増えています。本記事では、宿泊施設の運営者・スタッフの視点から、トコジラミ対策の考え方と日頃の備えについて解説します。
「清潔だから大丈夫」という誤解
トコジラミの発生は、施設の清潔さとは直接関係がありません。高級で清潔感のあるホテルであっても、トコジラミが持ち込まれる可能性は十分にあります。トコジラミは羽を持たないため自力で飛んで移動することはなく、主に宿泊客の荷物やスーツケース、輸入品の段ボールなどに紛れ込んで施設内に持ち込まれます。つまり、設備や清掃のレベルにかかわらず、どのホテルにも持ち込まれるリスクがあるという前提を持つことが、対策の出発点になります。
客室で特に注意したい場所
トコジラミは体長5mm前後の扁平な昆虫で、夜行性で人の血を吸って生きています。ベッドの隙間やマットレスの縫い目、家具の裏側、壁のひび割れなど、寝床の近くに潜伏することを好みます。客室の点検では、以下の場所を重点的に確認することが推奨されています。
- マットレスの四隅・縫い目・折り返し部分
- ヘッドボードの裏側(人目に付きにくく、集中して潜伏しやすい場所)
- ベッドフレームの隙間
- カーペットの縁、家具の裏側
宿泊施設として取り組むべき3つの柱
1. 予防(日常的な清掃・点検の徹底)
トコジラミの発生を完全にゼロにすることは難しいものの、定期的な清掃と点検を徹底することで、早期発見につなげることができます。ベッド周りはトコジラミだけでなくホコリも溝まりやすい場所のため、客室清掃の手順に重点チェック項目として組み込もことが有効です。リネン類は清潔に保つことに加え、洗濯時にお湯を使用するなど、繁殖を広げない工夫も重要になります。
2. 早期発見(清掃スタッフへの教育)
客室清掃を担当するスタッフが、トコジラミの痕跡(黒い点状の血糞、卵、抜け殻、刺され跡の報告など)に気づけるかどうかが、被害を小さく抑えるための鍵になります。発見時に最低限共有すべき情報(発見場所、写真、清掃履歴、周辺室の状況、客室タイプなど)をあらかじめ手順化しておくと、調査や対応がスムーズになります。
3. 迅速な初動対応
もしトコジラミが疑われる客室が見つかった場合、ベッドや家具を不用意に移動させると、繁殖範囲を広げてしまう可能性があります。基本的には家具を移動させず、移動が必要な場合は移動前後の点検も行うようにしましょう。また、清掃道具(特に掃除機のヘッドやブラシ類)は部屋間を移動するため、媒介になり得る点にも注意が必要です。疑い客室専用の道具を分けるか、使用後の処置(拭き上げ、袋詰め、保管場所の分離)を手順として固定しておくことで、拡散のリスクを抑えられます。
客室移動時の注意点
お客様からの申告で部屋を移動する場合、以下の点に注意することで、トラブルの再発を防ぎやすくなります。
- 荷物の床置きを避け、スタンドや台を使用する
- 移動時は荷物を袋やカバーで覆う
- 変更後の部屋も移動前に重点確認を行う
これらを「例外対応」ではなく、施設として定めた標準手順にしておくことで、現場の判断のばらつきが減り、再発の芽を摘みやすくなります。
専門業者に相談する際に準備しておきたい情報
トコジラミの疑いがある場合、「トコジラミっぽいものが出た」という情報だけで専門業者に相談すると、調査の範囲が絞れず、対応が長引いてしまうことがあります。スムーズな調査・施工のためには、以下の情報を整理して伝えることが推奨されます。
- 発見場所(部屋・箇所)
- 発見物の写真
- その客室の清掃履歴
- 周辺客室の状況
- 客室タイプ(ヘッドボードの有無など)
これらの情報がそろっていれば、調査が必要な範囲を絞り込みやすくなり、現場の負担と販売停止の範囲を最小限に抑えやすくなります。
名古屋・愛知エリアの宿泊施設へ
トコジラミは「発生しないようにする」ことよりも、「発生しても被害を広げない仕組みを整えておく」ことが現実的な対策です。発生件数が今後も増加傾向にある中、平時からの備えが施設間の差になっていきます。ダスキンターミニックスでは、名古屋・愛知エリアの宿泊施設向けに、トコジラミ駆除サービス(tm000010)と、宿泊施設限定のトコジラミ定期管理サービス(tm000015)をご提供しています。客室清掃スタッフへの早期発見ポイントの共有から、疑い客室発生時の調査・施工まで一括してサポートいたします。まずは無料の現地調査・お見積りからご相談ください。
このサービスに関連するサービス